- 会社も猫と一緒に!
シンガプーラを飼育するブリーダー・高瀬 郁代さん - キャットショーで活躍する猫、そのお世話をするブリーダーさん。
意外と知らないキャットショーの世界やブリーダーさんのこと、ブリーダーさんだから知る猫のことを直撃インタビューで教えてもらう連載企画、第五弾。
高瀬 郁代ブリーダー
ブリーダー歴:12年
【シンガプーラ】
ニューシャインくん(3歳)
チャームポイント:目が大きいところ。男の子だけどちょっと女の子っぽくてかわいい小柄な猫。甘えん坊な性格。
キャットショー出陳歴:4回
Q.飼育されている猫種とその数を教えてください。
シンガプーラを合計27匹。プラスで小さい子猫もいます。私は自分の会社を経営しながらショーブリーダーもしているのですが、会社で14匹、家で13匹を飼育していて、家にいる子がショーキャットや繁殖している子です。
Q. 会社でこんなにもたくさんの猫ちゃんを飼育されている方は初めてお会いしました。
家ではちょっと狭くて、飼える頭数が限られていました。なので、もうちょっと広いところがいいなと思って5年位前に会社に猫の部屋を作りました(笑)従業員からは見えない部屋で大体猫ちゃんと触れ合うのは、私とお世話係の従業員ですかね。休みの日は主人にお世話してもらっています。他社の方が会社に来たときは、やっぱりビックリされますね(笑)出社してから午前中はお世話も兼ねてずっと猫の部屋にいます。仕事は昼からです。
▲綺麗な瞳が印象的なニューシャインくん
Q.とても人懐っこい印象を受けますが、シンガプーラってどんな猫種ですか?
このニューシャインくんで2.5kgぐらい。小柄な猫種です。シンガプーラは、神経質とか多頭飼育が難しいとか色々耳にすることもありますが、私としてはそうではないと思っています。私の猫ちゃんだからというわけではなく、全体的にとても飼いやすいと思います。うちの猫ちゃんたちはすごい人懐っこくて、もうストーカーってくらいベッタリなんです。みんな私のことが大好きで、取り合いみたいになっています(笑)初めてお家に遊びに来られた方の膝にも乗ってしまうくらい人好きな猫ちゃんです。1匹飼うと魅力にハマる猫種で、「もう1匹飼いたい」と言ってくれるリピーターの方もいます。
Q.元々人懐こい猫種ということですが、飼育の仕方でこだわっていることはありますか?
私はショーブリーダーなので、生まれてから「この子はショーに出す」と自分で決めて、その子をショーキャットとしてずっと育てていきます。そして、4ヶ月の時からショーに出して、ショーやたくさんの人に触られることに慣れさせています。小さい時の方が、怖いと感じない子が多いんです。なので、小さいうちに慣らして、大人になって活躍する猫になってもらえるよう段階を踏むようにしています。8ヶ月齢から1歳くらいの成猫になってから始めるとなると段々と難しくなってきます。
CFAでシンガプーラのスタンダードを決めるセクレタリー(管理やサポート係) 高瀬さんが語る!ショーキャットの審査基準
シンガプーラのスタンダードはこうやって決まる!
▲高瀬さんの事務所にいるシンガプーラの猫ちゃんたち
Q.高瀬さんは、CFAでシンガプーラのセクレタリーをされているそうですね。
CFAのブリードカウンシル(猫ちゃんの審査基準に対する発言権も持つ人)というのが猫種ごとにあって、私はそのシンガプーラのセクレタリーです。もし現代の流れに沿わないなと思ったら、その猫種のスタンダードを変えていくという仕事です。
例えば、こういうのは絶対に出てこないとか、ちょっとここは厳しすぎるんじゃないかとか、変えていくこともできます。それはメンバーで話し合って選挙投票して決めています。
Q.ちなみに今、シンガプーラの審査で見られるポイントは?
目は大きければ大きいほどいいです。けどそれもバランスが大切で、目が大きくて、更に目と目の間に目が1個分以上離れていないとだめなんです。そうなると、顔の形の横幅が広い方がいいとか、耳も大きい方がいいとか色々あります。あとは短毛の猫なので毛並みというか手触り、テクスチャーですかね。けど、毛並みも持って生まれたものが多いので、どんなに綺麗に洗って仕上げても、生まれつきの良さにはかなわなかったり(笑)ザラっとしていて、シルクのようなタッチじゃない子もいますが、それはひとつの個性だと考えています。
スタンダード通りだからいいとは限らない? 高瀬さんの目指す理想のシンガプーラとは?
Q.そんな高瀬さんの目指す、理想のシンガプーラとは?
もちろん、目指すところはスタンダードです。でも、スタンダードって文字だけで書いてあるので、文字通りではあっても個性が出てきます。そんな中、自分には「これ!」という理想が明確にあるので、そこを目標にしています。
▲取材中の高瀬さんに甘え寄る姿は愛おしい
Q.高瀬さんのシンガプーラは姿を見ればわかる?
「他のところでシンガプーラを見たけど、高瀬さんのところとは全然違った」と言われますね。多分色や顔の違いだと思うんですが。色はインブリード(近い血統での交配)が重なってきたら、薄い色の白い子しか生まれなくなります。ちゃんと血統や遺伝を考えていかないと、違うところに模様があったりするみたいですね。
私は現在52歳なのですが、60歳でブリーダーを終えようと思っているので、それまでに誰か信頼ができるブリーダーさんに譲ろうと考えています。私の血統を広めてくれたらいいなと思っているからです。
高瀬さんとキャットショーのこれまでとこれから
キャットショーにハマったキッカケはビギナーズラック
▲カメラに興味津々
Q.最初にキャットショーに出陳したキッカケは?
当時ペットとして飼っていたアメリカンショートヘアとシンガプーラがアジアキャットクラブの血統書でした。その時は本当に何も分かっていなかったんですけど、キャットショーというのをやっていると知って調べて出陳してみたんです。そこでなんと、出陳した子がKitten(子猫)クラスでベストキャットを頂いてしまって。それ以来、親バカじゃないですけど、「この子だったら行けるんじゃないか」と思って、別の団体のショーにも出陳したり。ちょっとずつハマっていきました。
高瀬さんが考える キャットショーの未来
Q.キャットショーをもっと盛り上げて行くために、どんなことができると思いますか?
現在キャットショーが特定の人だけの楽しみになっているように思います。それをどうやったら変えていけるのかということをここ数年話し合っています。
シンガプーラのブリーダー自体が多くないので、私の後(CFAシンガプーラのセクレタリー)どうしようかなというような感じで(笑)私は52歳なんですけど、猫の世界では若手なんです。この後、どのように続けていくのかが、キャットショーを盛り上げて行く上でのポイントになってくると思います。
Q.ジャパン キャットショーにどんなことを期待しますか?
一昨年にロイヤルカナンさんがTICAとCFA合同で大々的にジャパン キャットショーを開催したときは、一般の方が来てくださいました。その時に「ドッグショーがあるのは知っていたけど、キャットショーは初めて知った!」という声も聞きました。こうして、多くの方にキャットショーを知っていただくのは、とてもいいことだと感じています。
▲会場に行けば高瀬さんとニューシャインくんに会える!
Q.キャットショーのお客さんへ、メッセージを
もし私の猫ちゃんをキャットショーに出したいという方がいたらなんでも教えてさしあげたいと思っています。なのでぜひ会場で声をかけてください(笑)ちなみに、今回のジャパン キャットショーには、ニューシャインくんも参加予定です。
あとは、せっかく色んな猫種がいるので事前に自分が見たい猫種の特徴や歴史を入手してくるとより楽しめると思います。