健康で美しい猫を育てる
ブリーダーたち
キャットショーでアメリカンショートヘア
の魅力を伝えたい!ブリーダー
ブリーダー歴40年
すぎた いくこ
杉田 郁子 さん
飼育されている猫ちゃんの種類と数を教えてください。
大体18匹くらいです。
アメリカンショートヘアとエキゾチック、スコティッシュフォールド。ラグドールもいます。
ショーに出る子はアメショーだけで、他の子たちはペットとして。
ショーキャットとして飼育されている、アメリカンショートヘアの魅力とは?
アメリカンショートヘアは、日本に入って来てまだ新しい猫種。
ですが、しつけが入りやすく、最も犬に近いと言われている猫で、我慢強いです。初心者が飼いやすい猫種の1つだと思っています。頭がよく、複数の猫ちゃんを同時に飼う方にとっても飼いやすい猫種ではないでしょうか。
シンバ(1歳3か月)
【アメリカンショートヘア/シルバータビー&ホワイト】
チャームポイント:甘いお顔
キャットショー出演歴:4回
猫ちゃんの健康を一番重要視
キャットショーで活躍できる猫ちゃんを育てるために大切にしていることは?
日ごろの健康管理ですね。せっかくいい猫を育て上げても、健康でなければ意味がないからです。毎日の食事と、排泄物のチェック。成長段階によってあげるご飯も違うし、排泄物の状況によって、病院に行くかどうかの判断もしなければいけません。なので、健康管理は1番大切にしています。
体に優しいごはん選びのポイントを教えてください。
猫ちゃんの欲しがるごはんが良いと思って、買い続けてしまう飼い主さんがまだまだ多いのかなと思います。ですが実際、猫ちゃんが好むごはんの中には、単に塩分が強いから食いつきがいいというものも多くあって、健康のためにはあまりよくないものも多いです。なので、安くて猫ちゃんが欲しがるからこのごはんを…というだけでなく、しっかり成分をチェックした上でごはんを選ぶことは大切だと思っていますし、猫ちゃんのオーナーさんたちにも知っていって欲しいと思っています。
短い一生。病気とともに生きていかなければいけなくなったら、かわいそうじゃないですか。
猫ちゃんの健康を1番重要視したメーカーさんが増えてくれたらいいなと思います。
Breeder’s view
ブリーダーになるキッカケとなった
杉田さんとアメリカンショートヘア
との出会い
杉田さんがブリーダーになったキッカケは?
アメリカンショートヘアはアメリカ発祥の猫なので、アメリカ人がスタンダードを作っていきました。シャムやペルシャのように、ショーに出られるレベルまで、ブリーダーさんの力で上がっていった猫ちゃんの1つです。
今から45年前くらい、当時まだ日本に3頭くらいしかいないときに、そのうち1匹を私のところにお迎えしました。
その子はターゲットマークのクラシックタビーという模様で、日本猫には珍しいものだと、海外の雑誌で拝見して知っていて、初めて会った時に、「こんな猫がいるんだ」「すごく珍しい!」と感動がありました。
元々ブリーダーになろうとは思っていなかったのですが、その子に出会って、やっとの思いで日本に来てくれた猫ちゃんがあまりにも可愛くて。「この子の子どもが見てみたい」という思いから、ブリーダーになりました。
猫ちゃんをブリードする上でこだわっていることはありますか?
MIRAIちゃんの子供の頃の写真
血統をしっかり熟知し、カラーなどの組み合わせを個人的に考えながらブリードしています。
簡単に言うとシルバーの猫ちゃんにはシルバー同士での交配を行う。
なるべくスタンダードに則した猫ちゃんを掛け合わせることがショーブリーダーだと思いますので、今でも日々カラーや遺伝学の勉強はし続けています。
杉田さんが出会った
ベストオブベストの猫ちゃん
これまで出会った猫ちゃんの中で印象的だった子の話を教えてください。
私がこれまでで1番感動して、ベストオブベストと思っている猫が、このサルーク・サテライドのアメリカンショートヘアです。初めてショーで見た時、鳥肌が立つくらいにビビビッときました。30数年前の猫ちゃんですが、今のキャットショーでも通用するくらい素敵な猫ちゃんです。
全米ナンバーワンになった猫ちゃんで、インターナショナルショーに800頭くらい来る時代のベストオブベストになりました。その猫ちゃんのDNAが私の猫ちゃんたちに入っていて、代々脈々と受け継いでいます。この血は、私の猫ちゃん以外ほぼほぼ絶えてしまっているそうです。
サルーク・サテライドの写真
Breeder’s view
アメショーの魅力を伝えてきた杉田さんが
キャットショーを通して伝えたいこと
キャットショーの意義について、どのように考えていますか?
猫ちゃんによっては、キャットショーに出場するのにストレスを感じることもあるかもしれませんね。
猫ちゃんは、お家でのんびりとひっくり返って寝ているイメージがありますし(笑)
けどやはり、この猫種のクオリティを存続させるためには、ショーに出て良い猫を絶えず出していかなければならない。
猫種の魅力を伝えていく場として、キャットショーは大切な場だと思っています。
猫ちゃんのブリードをする上で心掛けてきたことは?
いろんな意見があるとは思いますが、私は売るための猫を育てているわけではありません。世界のブリーダーたちが決めたスタンダートがあり、そのレベルに到達できるように育て上げていきます。その成果をお伝えすることで、「アメリカンショートヘアをいうのは、これだけ魅力のある素晴らしい猫種なんだよ」ということを、一般の人たちに知ってもらえたらと思います。
初めてキャットショーに参加する方へアドバイスをお願いします。
とにかく猫ちゃんのストレスを軽減することを、考えてあげてください。たくさんの人や猫のにおいなどで、猫ちゃんには相当なストレスがかかると思うので。
具体的には、キャリーバックは中の見えないカバーをつけてあげる、いつも使っているベッドやおもちゃを持っていく、飼い主がいつもそばにいてあげるなどです。このような気配りは、最初のショー出演には必要なことだと思います。
最後に、キャットショーにいらっしゃるお客さまへメッセージをお願いします。
ペットショップでは、2か月前後の小さい猫ちゃんしか見ることができませんが、キャットショーではメインクーンのような大きな猫種の、大人になった姿も見ることができます。
キャットショー自体はまだまだ日本に浸透しておらず、実物の猫ちゃんを見られるところと言ったら、キャットショーよりペットショップやブリーダーさんのところを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、これから猫ちゃんを飼いたいということであれば、大人になった猫ちゃんたちの姿を見に、ぜひ一度足を運んでみていただきたいです。
杉田さんとMIRAIちゃん